今日も 松っちゃんのところに 行ってきた
顔は あの きれいな顔は ブツブツの吹き出物で 覆われていた 頭も 毛の中も 血が 痒い 掻く 綿の手袋を きれいなのに 取り替えた 取り替えている時にも 頭を掻く ナースが「良く なっていますよ」って その言葉 軽くないか
唯一の娯楽は 耳からのニッポン放送 イヤフォンから
あれほど 言ったのに 外されていた また 耳に セットした 雑音が 多かった 周波数が ズレていた 1214に 合わせた よ~く 聞こえた 耳に いれてあげた 「聞こえるか~」うんと うなずいた 涙が こぼれた 早く 連れて 帰りたい
実習は真剣勝負
血糖値 インシュリン 専用の 使って 本番である 先生役のナースが 見ている 今日は「102」だった 普通の人のと同じだった よくぞ ここまで きたなと思う さすが
京急が ストで明日 電車が止まるから 家まで 迎えにきて
朝 松っちゃんの家に 車で 迎えにいった お母さんが ラーメンを作ってくれた 「すみません ごはんも下さい」って 寺ちゃんは 初対面の松っちゃんのお母さんに 甘えた お父さんは 寺ちゃんの顔見て「うちのは おてんば だから 手に負えないぞ あきらめるなら 今のうちだよ」って 豪快に笑った 結局 ストは回避され 電車は走り続けた 寺ちゃんと松っちゃんも同じだった。